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大好きなキミへ
やあ、メグちゃん。久しぶり。
ボクのこと、覚えているかな?
キミはもう、忘れてしまったかもしれない。
だけどボクは、今も忘れないよ。
メグちゃん、キミはまだうんと小さかった頃に、空き地の片隅で子猫を飼っていたよね。そこには何に使われていたのかもよく分からない、トタン板を接ぎ合わせて造られた小屋があって。キミはカギの壊れた、建てつけの悪いドアをガタガタ鳴らしながら、いつもどうにかこうにか抉じ開けて、子猫に会いに行っていた。
でも、本当は自分のおうちで飼いたかったんだよね。
白い毛並みに茶色のまだらがある子猫を大事に抱えて、一度家まで連れて帰ったけれど、お母さんに「捨ててきなさい!」と叱られて、泣きながら諦めた。
だけどキミは、たった一匹、ダンボールに入れて捨てられていた子猫を見捨てることができなかった。ダンボールの高い壁をよじのぼれなくて、「置いてかないで!」と必死にミャアミャア泣き叫んでいた子猫を、今度はダンボールごと抱えて駆け出した。そうして例の掘っ立て小屋に匿ったんだ。
「明日も来るからね」
メグちゃんはそう言って、子猫の喉を優しく撫でた。
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