大好きなキミへ

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 子猫は目を細めて、とてもとても安心していた。  それから次の日も、また次の日も、メグちゃんは毎日子猫に会いに行った。  子猫にはソラって名前をつけた。  キミは少ないお小遣いを切り詰めて、ミルクやエサも買ってあげた。  ソラがダンボールの中で一生懸命食事をするところを、メグちゃんは嬉しそうに、楽しそうに眺めていた。  そうこうしながら、しばらくが過ぎて……ソラはなかなか大きくならなかったけど、それでもメグちゃんになついてた。メグちゃんの足音がするだけでミャアミャア鳴いて、抱き上げられると愛おしそうに額を擦りつけて、ゴロゴロと喉を鳴らした。ソラはメグちゃんが大好きだった。  でも、ソラが生まれて初めて夏を迎えたある日、とても大きな嵐がやってきた。  その晩、ボロボロの掘っ立て小屋はひどい騒ぎでね。  風が吹く度、錆びたトタン板がガタガタ鳴って、隙間からは雨も入ってきた。とても寒くて、怖くて、ソラはひとりでミャアミャア鳴いた。メグちゃんに「大丈夫だよ」って抱き上げてほしくて……会いたくてたまらなかった。  だけど、メグちゃんは来なかった。  いや、来なかったんじゃない。来られなかったんだ。     
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