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 話は数か月遡る。  私は会社員をしていた。猫としてじゃない。もちろん人間として。  もっと言えば、主人の充美として。  真面目にしているのに、なぜか上司に嫌われ叱られる毎日。  慰めてくれる彼氏もいない。憧れの人は社内にいるけど、話しかけることすらできない。  人生にうんざりして一人暮らしのマンションの前に着くと、白猫が座り込んでいた。野良猫にしては綺麗だ。 「猫にでもなりたいくらいだよ」  つぶやくと、突然低めのセクシーボイスが聞こえた。 「あら、じゃあ私と入れ替わらない?」
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