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 周りには誰もいない。足元には白猫が寄り添っている。 「まさか、猫がしゃべった?」 「あなたが話しかけてきたんじゃない」  セクシーボイスは、不思議なことに猫から発せられている。  疲れすぎているな、と頭を抱えた。 「私の名前は、花。よろしくね」  白猫は、しっぽを左右にゆったり振った。  それが、契約の合図だった。  気づけば、私は猫の姿になっていた。手を見つめると、肉球がついている。顔を触ると、ひげとふわふわの毛の感触。 「ふ、ふぎゃあーー」  出した声は、春の猫みたいにうるさかった。
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