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私は毛を逆立てた。
「どうして、急に。私は今の生活が気に入っているし、花も、人間社会は面白いって言ってたじゃん」
何を言ってもだめだった。入れ替わり契約は、両人・猫の合意がなければ続けられないものらしい。あっという間に、私は人間の体に戻った。
「もう会社なんて行きたくない」
五本の指がある両手で、つるつるした毛のない顔を覆った。
花は、野良に戻してほしいと言うので、抱えて外へと向かう。そっと放すと、ぐんと伸びをする。
「会社へ行ってごらんなさい。人間でも、猫のように自由に愛され生きることも出来るのよ」
花はそう言うと、塀の上にジャンプをして、ゆうゆうと歩いて行ってしまった
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