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久しぶりに人間の朝を迎える。朝ご飯も用意してもらえないし、二度寝もできない。
何より、花がいないのがさみしい。
でも、花の残した言葉通り、もう一度会社へ行こうと決めた。
「資料、決済通しておいたから」
上司に声をかけられ、びくりとする。でもその顔は上機嫌だった。
渡された資料を見ると、大したことは書いていない。猫が作ったんだから当たり前だけど、花はなぜか堂々、決済を勝ち取ったらしい。
突然、昨日の別れを思い出し目がうるむ。人間に戻ることの不安ばかりで、ちゃんと別れを言えなかったことが、悔やまれた。
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