孤立

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「いまどき『茸』が流行りますか? 私たちは健康食品のセールスマンじゃない。よりよいファッションとライフスタイルを提案するのが仕事でしょう」 柿崎がそういう言うと、あちこちからクスクスと笑い声が聞こえた。どこまでも私は孤独だった。援護してくれる人間はどこにもいない。でもそれは、いつものことだ。 すべては自己責任。 自分の選択。 ずっと私は自分に言い聞かせ続けてきた。大学を卒業してすぐ、バックパッカーとして世界を回ることを決めた時も。どこかで野垂れ死にしても、変態にレイプされても自己責任。そうやって周囲の反対を押し切った。そこまで覚悟を決めなければ自由を手に入れることなどできない。私は人生の主導権を誰かに奪われるのが、どうしても許せないのだ。 離婚も。 中絶も。 ひとりで決めた。 私は言う。 「誰かに助けを借りようだなんて思っていないわ」 頭の中で警告が鳴り響いている。おそらく、そろそろ私は生き方を変える必要がある。 そんなことわかってる。 わかってるけれど。 「全部、自分でやります」
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