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彼女、山下星香を初めて見かけたのは、バスケ部体験入部の時だった。
その時は知らなかったことだが、スポーツ科の生徒は推薦入学が決まると中学三年の時から練習に参加し始める。
息の合ったプレーに、端っこでドリブルの練習をしていた僕は目が釘付けになった。
当時の僕は、バスケをかじった程度の初心者みたいなもの。
バスケ部に入部を決めたのも、女バスの可愛さが一つの理由だったのかも知れない。
そんな邪まな考えの奴らの殆どは、夏が来る頃には退部して行ったが。
自分の想像以上に、バスケにハマっていた。始めた頃だったこともあったが、指導もしっかりしており上達するのが目に見えて、楽しくて仕方が無かったのだ。
バスケに夢中だった僕は、すっかり彼女の存在を忘れていた。男子高校生らしからぬ出来事だ。
夏が近付いて来たある日の部活帰り。
その日の練習はいつも以上にハードで、二十時まで練習が続いたのだ。当然、足はフラフラで自転車で帰るのも辛く途中で休憩することにした。
自動販売機の前に座り、スポドリを飲みながら携帯を取り出す。
時刻は、二十時三十二分。家までは学校から十km近くあり、まだ半分も進んでない。
疲れで、少し眠りかけていた時。
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