-プロローグ- 決意した日

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「達哉じゃないか!一人寂しくこんなところで、何やってんのさ?」 ラーメンの味を深く味わっていたところに、声をかけられる。 こんなところ呼ばわりされたラーメン屋には同情しかない。 ちなみに達哉とは、僕の名前だ。 「ラーメン食し中。陽平こそ、何やってるの?」 彼は、陽平。高校一年からの友人で、僕の隣の席。 「へへ、聞いて驚くな..?これから、カラオケ行くんだよ!しかも、他校の女子!」 こうやって、カップルがまた生まれていくのかなと悟った。 「悪いけど、メンツは揃っててさ。達哉も残りのGW楽しんでな!」 陽平は、同じ部活の仲間らしき二人組と合流し、去っていった。 GWは、最後の大会の練習で忙しいと思っていたのだけれど、息抜きもしっかりしているみたいだ。 僕は少し、彼らに羨望の眼差しを向けていた。 (あっ、ラーメンのびてる..) 急いで残りのラーメンをかき込み、食べ終わるとその場を後にした。 僕が通っている高校は、自宅から自転車で一時間くらいかかる。 なので高校の友人とは住んでいる場所が遠いため、中々会えないのだ。陽平が、何故この辺のカラオケに行くのかは謎だった。 やっぱり、家でゲームをしていた方が良かったかも知れないなと後悔し始めていた。 要は、現実逃避だ。意味も無くゲームをしていることってあるでしょ?そんな感じ。 結局、街に当ても無く出歩いても、何も起こらないんだと改めて感じる一日だった。 でも、何かをしたい。何かを起こしたいと思う一日となった。 だって、今の自分は非常につまらなかったから。 高校最後の年を華やかに過ごし、友人や彼女と青春を謳歌する。そんな理想を抱いていた..。
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