殺し屋

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今までの仕事の中で、印象的な案件はいくつかあるが一つ強烈なものがあるから、ここで披露する。それは今でも忘れられない。鮮明に俺の脳裏に焼きついている、ちょっと恐ろしい話だ。 依頼人は若い主婦だった。名前は山川有紀。標的は夫晴彦の母親・・和子だ。 父親は既に亡くなり母親を含めて三人での新婚生活が始まった。話はこの後だ。 結婚後一週間もすると、晴彦は結婚前には隠していたマザコン振りを堂々と見せてきた。 食事は和子が晴彦の好物を毎日せっせと作り、晴彦が風呂に入ると、毎日その背中を流した。 晴彦が風呂場から「母さん!」と声を掛けると和子は「ハイハイ、しょうがないわねぇ」とチラリと有紀を見て風呂場へ向かうのだ。有紀は嫌悪感より先に鳥肌がたった。 ある夜、隣りに寝ていたはずの晴彦の姿がない。まさかと思い母親の部屋のドアをそっと開けると、晴彦は和子の隣にまるで子供のように寝ていた。
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