殺し屋

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妊娠三ヶ月・・・有紀は流産した。 和子は身重の体をいたわる素振りで、有紀に毎日茶を振舞った。その中に毎回、少量の薬を盛っていたのだ。妊娠が判明してからずっとだ。 それは中国由来の漢方薬で過剰に服用すると流産の危険があるものだった。和子の目論見どおり、有紀は流産した。 子を亡くした有紀は、和子の鬼のような策略を知り、発狂せんばかりに俺の元へやってきたという訳だ。 俺は有紀の依頼を受けた。やはり胎児殺しは断じて許せない。それと嫁の目の前で堂々と繰り広げられる母と息子の異常な関係に、大いなる嫌悪感を抱いたからだ。同情の値はレベル5だった。
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