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上巻
2018年、春。
僕は新任の教師として、私立舞薗高校――舞薗女子高校へと赴任した。
受け持つ担当科目は、国語。現国。
学生時代は文学部で、大学に通って居る間にあれよあれよと教員免許を取った僕が――かつて小説家を目指し、けっきょく自費出版止まりで夢を諦めた僕が、流されるままに流されて、流れ着いたのがこの場所である。
社会人となってから、初めての仕事の場所がこんな花の園だなんて。
想像していたよりも遠慮して接してくれるのは有り難いものの、それでもまだ息苦しさが拭いきれない毎日で。昼食の時間になる度に、どこか自分の落ち着ける場所はないものかと探すのが日課となっていた。
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