夏の終わりのハーモニー

10/10
前へ
/148ページ
次へ
 ホテルのフロントに貼ってあった地図によると、どうやら海が近いらしい。 「ふむ、旅先の海で夜風に吹かれるのも一興であるな」  で、潮風の匂いを頼りにトコトコ歩いていったのだが、おや……? いつの間にか、周囲の建物の様子がおかしくなってきた。  ピンクを基調とした妖艶でいかがわしいネオンが、辺り一帯に煌めいているではないか。 「こ、これはもしや……ふ、ふ、ふーぞく街!?」  後で調べてみたところ、どうやらこの付近は、城東地区とかいう四国でも指折りのセクシータウンらしい。  想定外の展開に、呆然と立ち尽くす私。  店の前に立っている、客引きと思しきオジサン達の視線が痛い。  い、いやあの、私はそうとは知らずに迷い込んだ哀れな迷い猫で、べ、別に面接を受けに来たワケでは……!(激しく動揺)
/148ページ

最初のコメントを投稿しよう!

34人が本棚に入れています
本棚に追加