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ヘスティア・メイル
秀樹の言う『ヘスティア・メイル』というのは、女神の名前を持ちながら、その意匠はユニセックスだった。男でもないし、女でも無い。
「なあ、なんで、これ、ヘスティア・メイルって名前なんだ?」
装着準備の為、アンダースーツと呼ばれる、肌にフィットする(いわゆる全身タイツのような)伸縮性素材のものに着替えながら、誠は秀樹に尋ねた。
「ヘスティアは、かまどの神です、あと、『ガイア』だと、なんか、こう、それっぽすぎるかなって」
「そういう名前の正義の使者がいたな、そういえば、あれは宇宙人の話だったが」
「作中だとガイアじゃなくてガイヤーでしたけどね」
やっぱり、こいつロボアニメオタクだ……。誠は思ったが、それ以上は追求しなかった。
「ちなみに、僕が推したのはガクツチでした、あまりスマートでは無いという事で却下されましたけど、そもそもギリシア神話の神様は手垢がつきすぎていてオリジナリティが無いんですよ」
秀樹は他にももっと言いたい事がありそうだったが、誠はそれを無視した。
しかし、ひとつだけよい事に気がついた。ヘスティア・メイルを作ったチームには、少なくとも秀樹のプランを却下できる立場の人間が存在しているという事だ。
この先、この、ややマッドの入った科学者のおもちゃになるのは御免被りたかった。
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