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「ごめん、折角作ってくれたパスタ、片方だめにしちゃって」
「別にいいよ、無事だった方を一緒に食べたし」
なんかそれはそれで楽しかったし。
玄関で見送る天宮。
本当は下まで行くと言ったのだが、部屋に戻るまで心配になるからここでいい、と言われたのだ。
「今度来てもらう時はちゃんとした料理出すから」
「別に気にしなくていいから」
「私は気にするの!」
ムっ、と唇を尖らせれば、宇津保はクスリと笑いその唇に軽く口付ける。そして「今度は俺の部屋にもおいで」と言い、
「その時はちゃんと覚悟を決めとくよーに!」
背中を向けてそのまま出て行ってしまった。
「…………」
なんの覚悟なのか最初は分からなかったが、少し考えてからその意味が分かった瞬間また顔を真っ赤にさせて。
「やっぱり簡単に『行きはよいよい』にはならないみたいです」
その場でうずくまってしまう天宮でした。
END
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