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触れられた耳の手を押さえるように肩を上げて、首とでその手を捕まえようとするけれど、その隙をついて舌が唇の間を通り、口腔へと侵入してくる。
侵入した舌は先ほどの視線で伝えた言葉通り、天宮を感じるように口腔を舐め回し、舌と舌を絡ませた。
「んっ、んっ、」
唾液を流し込まれはしていないものの、混ざり合う彼と自分の唾液が顎を伝い落ちていく。その感触でさえも甘く痺れるような感じがして、天宮は恥ずかしさでやっと逃げるように目を閉じた。しかしそれを許してくれないのが宇津保という意地悪な男で。
目を閉じたと同時にあれだけ絡まっていた舌が簡単に外れ、口腔から抜け出て行く。そして唇に、ちゅっ、と音を立てて口付け、息が含まれた熱い声で「ゆかな、」と名前を呼んだ。
「ちゃんと目ぇ開けて」
「やっ、だ、ぁ」
「ゆかな」
反抗するようにぎゅっと強く閉じれば、耳をくすぐる手とは逆の手がうなじから髪の毛を掬い上げるように持ち上げ、髪の毛で見えない部分を軽く噛みつかれた。
「いっ」
「ゆかな、俺を見て」
「はず、かしいからっ」
「じゃぁ名前」
その噛みついた場所を慰めるようにベロリと舐め、そのまま舌先で首筋を舐め下りて行く。
「んっ、」と鼻から抜ける声を上げ、そのゾクゾクとした感触に耐えるよう自分の身体を抱きしめれば「名前を呼んで」と彼は言った。
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