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「いま優奏と一緒にいるのは誰?」
「う、つぼ、さん?」
目を閉じたまま疑問形のような形で言えば彼は「そう」と頷く。
「優奏とキスしてたのは?」
「うつぼ、さん」
そして自分を抱きしめる天宮の腕にゆっくりと触れた。
「優奏が好きなのは?」
その声は先程よりも少し悪戯で。きっと〝うつぼさん〟のことを思い出しながら言っているのだろう。
天宮はそれにムっと唇を尖らせ、ゆっくりと瞼を開けながら、
「意地悪でむっつりスケベな宇津保さんですっ!」
腕を伸ばして自ら彼に抱きついて口付ける。が――――
――――ガチャ、ガチャンっ!ゴトン!
物凄い音が響き、二人はピタリと動きが止まる。そしてロボットのように首をテーブルの方へ動かせば、倒れてお茶が零れたコップに、スパゲティーが入ったまま床へと落ちたお皿。そして天宮が抱きついた時に当たったのだろう、ズレたテーブル……と、酷い有様で。
それを見た二人はしばらく沈黙した後、額を合わせてクスクスと笑い合い軽く口付けて。
「片付けますか?」
宇津保の問い掛けに、
「片付けましょうか」
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