14人が本棚に入れています
本棚に追加
小さいこと? 小さいことか。
私の、夢は……。
考え込んで、私は気付くと柚木さんの目を見つめていた。
ふと思い付いたその言葉は、少し言い難い内容だった。
「私はね、今叶ったよ」
黙る私に、柚木さんが助け舟を出す。生クリームの最後の一欠片を満足気に口に運ぶ彼女を見て、吹き出しそうになった。
「そんなに、ここのパンケーキ食べたかったんだ」
「ううん、違う違う。答えは明日、教えてあげる」
……明日。
柚木さんが言うには、彼女は『十月六日』を繰り返している。
彼女に、明日は来るのだろうか。
「あの……」
「よし、次行こう! 私、明日世界が滅亡するなら行きたいところがあるんだ」
柚木さんは唐突に立ち上がった。宙ぶらりんになった言葉を飲み込み、私も慌てて彼女の後を追った。
最初のコメントを投稿しよう!