あらすじ

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 主人公、星埜空(ほしのそら)は幼少期より姉のみちるに虐められていた。姉はいつでも空の欲しいものを、物質的にも精神的にも奪っていく。だが両親も世間も優秀な姉の味方であり、空はついぞ誰からも愛されることがなかった。空は次第に自己肯定感を失い、空気のような少年に育っていく。  だが空は過去一度だけ恋をした。彼が6歳の時、満月の夜にだけ近所の草原に現れるようになった銀髪の不思議な少女「アミリ」。しかし彼女はある日突然「何に変えてもアナタを愛している」と言い残し姿を消した。  時は流れ彼が十四歳の誕生日を迎えた日、彼の前に空から不思議な光が降りてくる。それはUFOのような小さな球体であり、中から姿を現したのは美しく成長した少女「アミリ」だった。  彼女は自分が本当は宇宙生命体であり、宿敵の捕食者「セレクション」から逃れるため再び地球に戻ってきたのだという。すると突然空間が破れ、機械の集合体のような怪物「セレクション」が空の前に現れた。アミリはそれを倒すには自分と合体し生命の限界を超える力が必要なのだという。空は言われるままにアミリと誓いを交わし、アミリは巨大な植物のロボットへと姿を変え、空と共に敵を撃破した。  空は自分がアミリに求められることにより生きる希望を取り戻す。それは死や戦いの恐怖さえ凌駕し、彼は生き生きと明るい性格に変わっていった。アミリは空にしか見えず、戦いを重ねるうち二人は親密になっていく。その空の変わっていく様子を姉のみちるだけは憎々しい様子で眺めていた。  ある日、空は姉の部屋であるものを見つける。それはかつて出会った少女、アミリの銀髪と同じウィッグと、彼女が身に着けていた洋服だった。彼が恋した少女は、本当は姉のみちるだったのだ。姉のみちるは空を愛していた。だがそれは決して成就しないことを知っていた姉は、空からすべてを奪うことで、空がからっぽになり誰にも奪われない存在になることを願った。だが、それでも抑えられない思いを「アミリ」という少女になりきることで束の間の恋を楽しんだのだった。  では今彼の前にいる「アミリ」とは何だったのか。 それはヤドリギならぬ「宿り星」という種族の生命体で、己に他の生命体を取り込むこと(合体すること)により種の存続を保ってきた。セレクション(淘汰)とは、弱い種に育った場合にそれを淘汰する、宿り星の種を保つための機能であった。
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