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「本当にあの男はお前の兄なのか?」
董亮が尋ねると韓栄はゆっくりと説明を始める。
「彼、韓度は韓蓋の息子、私と血の繋がりがある兄で、以前は李国の官吏だったんだけど四年前に出奔して呂国に寝返ったの。そして今は呂国の最高軍師として才を奮っているらしいわ」
「じゃあさっき斬っておけば良かったじゃないか、何故止めたんだ?」
朱循が息を荒くする。
「何か罠がある筈と思ったのよ、敵国であんな余裕を見せて立っている男に裏がない訳がないでしょう」
「そこそこ武術も出来る様だな」
董亮が言うと韓栄は頷く。
「はぁ? 格好からして頭脳労働担当だろ?」
「いや……そうかも知れんが腕は立つ。俺が剣で突こうとした時、一瞬で俺の動きを捉えて避けた。あれは玄人の避け方だ」
「兄上は、父上と違って幼少期から武術が得意だった」
「朱循、お前でも……油断したら返り討ちにされるぞ」
「そりゃあ大した強さだな」
朱循は董亮の目測に舌を巻いた。
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