38人が本棚に入れています
本棚に追加
数日後、再び夏侯優は韓家に姿を現した。
丁度庭先で掃除をしていた胡翠は彼の姿を見て目を輝かせた。
「夏侯優様! またいらしてくれたのですね!」
夏侯優は彼女に柔和な笑みを返す。
「はい、韓栄殿に贈り物があって」
「そうなんですね……!」
胡翠は一瞬悄げた顔をする。
馬鹿だ。韓栄様に会いに来たに決まっているじゃない。
「あ、そうだ」
夏侯優は玄関に入ろうとしてピタっと止まり胡翠の顔を見る。胡翠は可愛らしく小首を傾げる。
「?」
「これは貴女に」
夏侯優は小さな胡翠の手にそっと蒲公英の束を何本か乗せる。夏侯優は目をぱちくりさせる彼女の顔を覗き込みながら言う。
「庭に咲いてたから、摘んで来たのです。野花はお好きか?」
胡翠の顔がぱあっと明るくなり、興奮しながら前のめりになって礼を言う。
「大好きです! 本当に嬉しい! ありがとうございます!」
夏侯優は満面の笑みを見せる胡翠を見て嬉しそうに目を細めた。何だろう、この娘は美人とは少し違うが……癒される。
最初のコメントを投稿しよう!