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初の女武官になる武琳の噂は宮中で持ちきりだった。韓栄の恋人である董亮も耳に挟んだ様である。この董亮という男、齢二十三にして将軍職を賜る実力派の武官だが、女の趣味はだいぶ残念だと時々宮中で噂される。
「今度は武官らしいな」
「えぇ、男顔負けの武力ってどの程度かしら」
「俺の部下達も女に負けられないと訓練に力を入れている」
董亮が笑いながら言う。割と愛想のない彼だが、どういう訳か彼女を前にすると少々笑顔が増える。
「……私の時もこの位噂になった?」
「それ以上だな。皆跳ねっ返りが来る、と噂してたよ」
跳ねっ返りなんて可愛いもんじゃ無かったなと董亮は軽口を叩く。
「そう思えば、お前も随分宮中に馴染んだじゃないか」
「ええ、でも嫌味は相変わらずね」
「言い返すんだろう」
「倍にして返すわ」
韓栄が不敵な笑みを浮かべる。物好きな恋人は「流石軍師殿」と皮肉る。
「程々にしておけよ」
董亮は愛おしそうに韓栄の頭を撫でた。
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