38人が本棚に入れています
本棚に追加
数週間後、遂に噂の彼女の仕官の日が訪れた。仕官の儀で初めてみる武琳は堂々とした足取りで楊彪の眼前に闊歩する。
韓栄よりは大柄で、細身に見えるが筋肉は引き締まっていて鎧がよく似合う。歳は韓栄よりも若干だが若そうだ。瑞々しく瞳は輝き、快活そうな出で立ちである。
「改めまして、武琳です。よろしくお願い申し上げます」
少し高めの溌剌とした声が鳴る。
「こちらこそ、君主の楊彪だ。宜しく」
楊彪は武琳のさっぱりとした態度が気に入ったのか目を細めながら言う。
「お前は二番目の女官吏で初の女武官だ。女とはいえ武官として生きる以上、死の危険と隣り合わせだ。覚悟はいいな?」
武琳は楊彪の問い掛けに満面の笑みで応じる。
「勿論です! 男顔負けの武を見せ付けてやります!」
「いい返事だ! 宜しく頼む!」
そう、男と同等では女性官吏は務まらない。
韓栄は自分の仕官の儀を思い出し口元を緩めた。
最初のコメントを投稿しよう!