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プロローグ 旧市街近辺にて
「それじゃあ! もう一回確認するわよ! 我らが人型のパイロットさん!」
良く晴れた午前。
膝を立てて地面に座る俺の前で、ぼさぼさの金髪で作業着の女の子が明るく大きな声を出した。
もちろんだと言う返事の代わりに、俺は片手の親指と人差し指で丸を作ると。金髪の女の子は満足そうに頷いて視線を下げた。
「今回のお仕事は、旧市街廃墟に入り込んでるサイクロプスの討伐。手段は問わず。周りの被害も気にしなくて良い。でも弾薬費は出してくれないそうよ。変にケチよねー」
ぼさぼさの金髪を掻きつつ、女の子は手元の資料を読み上げる。
「近くに未発見の旧軍施設があるらしくて、運の悪い探索者がその施設をつついちゃった。それで多分、サイクロプスがそこから這い出して来たんじゃないか。っていうのが協会のくれた情報。最近あの辺を通る輸送業者とかが襲われてて、大迷惑を被ってるらしいわ」
『サイクロプスか。中型の生体兵器だったっけ?』
俺がノイズ混じりの声で聞きかえすと、金髪の子は視線を上げて頷いた。
日に焼けてそばかすのある、元気に満ちた顔だ。少し背が低いのも愛嬌がある。
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