幼年期

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 だがスカーレットは7歳で女の子でしかも平民だった。  スカーレットにとって魔力はあって当たり前で、身体を魔力で強化することも当たり前で。 あまりにも当たり前だったから、何も考えずに使っていた。  平民は魔力を持たないか少ない。  あっても使い方も知らない。  増やし方も知らない。  何故なら貴族が自分たちの優位性を保つために秘匿しているから。  もしも流した者は例えそれが上位の貴族でも厳罰に処される。    それは頭の片隅に知識としてはあったはずだけれど忘れていた。  だから自分が魔力を、しかも前世と大差がないだけの質と量を持つことも当たり前に受け入れていたし、それを前世の知識で増やすことも使うことも当たり前に行っていた。  覚えていれば、警戒していれば、ああはならなかったかも知れない。後になってそうは思うけれど、後悔もするけれど。  この時は自分でも不思議なほど何も考えなかった。  男たちがもっと上の役人であればもしかしたら少しは考えていたのかも知れないが。  スカーレットは何も考えずに、トコトコと軽い足取りで村の入口まで来ると、元気に「こんにちは!」と男たちに挨拶した。  ついでに男たちの対応をしていた村のおっちゃんに「後で家におすそ分け持ってくからね!」と笑って宣言した。  7日後。  村に見知らぬ大人たちがやってきてこう言った。 「この村に魔力を持つ子供がいるはずだ!その子供を出せ!」
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