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私は、女が飽きるまで付き合い、体だけすっきりすると、寒い庭に放り出してきたことを少しだけ後悔した。
部屋に戻ろうと庭を歩いていると、普段使われていない客間の明かりが見えた。この棟は王族の身内しか使わないので、使われる頻度は高くないのだ。
盗賊か? と思ったわけでもない。ただ、なんとなく部屋を覗いたのだ。普通ならいるはずの侍女もいなかった。
客間は大体同じなので、居間を抜け、寝室の扉を開けると、寝息が聞こえてきた。次いでケホケホと咽る声がして、その声に魅かれて、歩みを進めた。
何をしているのかと訊ねられれば、「部屋を間違えた」と言えばいい。
そこにいたのは、何時間か前に庭に置き去りにした少年だった。苦しいのか背中を丸めて、浅い呼吸しているところをみると熱があるようだ。
様子を見ながら、どうするか迷った。
普段の私ならそんなことはしない。踵を返して、見なかったことにすればいい。そのうちに侍女が様子を見に来るだろう。曲がりなりにも彼は、王妃の身内なのだし。
そう思っていても一向に私は、部屋に戻る気にならなかった。
寝台の少し離れたところにある椅子に静かに腰掛けた。
結局、私は誘惑に勝てなかった。自身の性格をかんがみても、有り得ない行動だ。
連れて帰った自分の部屋に軟禁するように囲い込み、年齢よりも幼い様子の少年に快感を教え込む。どんなに甘美な水も酒も少年の、ロッティの口付けには敵わない。
眠りすぎて眠れないと駄々をこねたロッティに風呂場で意識を失うほどに快楽を与えた。
今は、その身体を抱きこみ、同じ寝台で眠りに落ちる。
私は、今までにない充実したその時間を堪能したのだった。
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