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***(視点戻ります)
酷い夢を見た――。
俺のアレをクリス様が咥えて……うわ、俺、不敬罪で絶対投獄される! と思って目が醒めた。本当に酷い夢だった。身体は筋肉痛のような痛みまであるし。
そういえば、お尻の穴に……。なんていう夢なんだろう――? 俺もしかして、この年では有り得ないことだが、粗相しているんじゃ……と思わずお尻に触れてみてホッとする。濡れている感じはしないが、なんでこんなにスースーして……。
「うわ!」
俺はすっぽんぽんのまま、クリス様に抱えられて眠っていた。何故クリス様も裸なんだろうか――。
上擦った声にクリス様も目覚めたようだった。
俺は二人に掛かっていた上掛けを引き寄せて身体を隠した。クリス様の立派な身体とは違いすぎる貧相な鶏がらを見せたくなかったからだ。
「ん……」
起き上がったクリス様は自身が何も着ていないことを不思議にも思わず、そのままの格好で部屋を出て行った。昨日までは確かに着ていたはずなのに……。
「なんで動揺しないんだろう」
クリス様も俺も何も着ていないんだけど。
しかも、あれ、夢じゃない――。最後の方の記憶はないのだけど、目覚めてしっかりした頭には昨日の浴場の出来事が本当だったと思い出せた。
恥ずかしくて死にそう――。
俺はもう一度横になって、枕に顔を押し付けた。
「起きろ。寝過ごしたから風呂に入っている時間はない。早く来い」
命じられた俺は、寄越されたクリス様の服にしては小さなものを(俺には大きいが)着て、テーブルについた。下着もあってホッとした。寝込んでこの方、夜着のかわりにクリス様のシャツを羽織っていたが、下着ははいていなかったのだ。トラウザーズは、少しブカブカで足は引き摺りそうなので二回ほど折りこんだ。
クリス様は、俺が枕に懐いている頃、侍従に命じてご飯用意をさせ、顔を洗い服を着て、侍従を部屋から出した後に俺を呼びに来たようだった。
「足りるか?」
クリス様は、香り高い珈琲と今日は葡萄を食べていた。
俺に用意されたのは焼きたてのクロワッサン三つにじゃがいものスープ、温野菜のサラダ、甘めの珈琲と葡萄は葡萄でも葡萄ゼリーだった。本格的なゼリーは、とても美味しかった。ちなみに葡萄も季節はずれなので普通の貴族の家には出てこないはずだ。
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