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「はぁ……っ!」
大きく息を吸うと、ドッと汗が噴出した。
「少しだけ緩めれるか――?」
苦しげな顔はクリス様も同じだった。自分だけではなく彼も苦しいのだと気付く。
浅い息を何度も吸ったり吐いたりしていたら、少しだけ身体の強張りが緩んだような気がした。
「お前は息を忘れるな――」
頷くと、クリス様は俺になだめるように口付けてくれた。
二人の間で痛みに萎れた俺のソレを握って、クリス様は優しく丁寧に刺激を与えた。息を吸うために口は塞がれなかったが、首筋や胸に口付けを受けると俺の身体も次第に快感を追い始めた。
「クリス様……。何か変……。身体の奥が……っ」
クリス様は動かなかった。俺のソコが限界なのを知っているからだろうか。
「ああ……、馴染んできたな……」
クリス様の与える痛みと口付けに酔う。身の内の小刻みな震えは波のように寄っては離れ、次第に大きなうねりのようになってきた。
「あっ……ああっ! ああ……んんっ……」
俺は、首筋の噛み跡を舐められて、俺自身の先をカリッと指先で掻かれたそれだけであっけなく、達った。内部が蠢くようにクリス様を締め付けた。俺の身体の震えだけで、中のクリス様も果てたようだった。恐らくかなり辛かっただろうと思う。
「んっ……」
呻くようにクリス様が声を漏らして、俺の中に熱いものが注ぎ込まれる。ビクビクと蠢く内部で俺はそれを感じた。
「ロッティ――」
こんな時でも、俺の名前は呼んでもらえない――。
ロッティでなければ価値がないと知った遠い昔のように悲しい気持ちがわいてくる。俺は名前を呼んでもらうことを諦めていた。
誰もルーファスなどいらない――。
「あっ……」
クリス様が力を失ったソレを抜いた瞬間、思わず声が上がった。少し寂しいのは、埋められていたものがソレだけでなく、温かい気持ちもあったからだろうか。
「好きなんだ……ロッティ。いや、そんな言葉じゃ足りない。――お前を愛してる」
もう一度、今度は背中から抱きしめられた。その切羽詰ったクリス様の低い声が、敏感になった首筋を突き抜けた。
身を震わせて、クリス様の手に自分の手を重ねた。
再びクリス様が背後からゆっくりと入ってきた。先程と違うのはクリス様の注いだものが潤滑油の役目を果たして、スムーズになったからだろう。
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