誤解と離別

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 シーツがリリアナ様に取り払われたから、全てを彼女に見られたのだと今更ながらに気付く。 「これじゃ、ごまかしようがないか……」  悲鳴をあげたのもわかる。身体のあちこちに赤い点々が散らばっていて、ところどころ噛み跡のようなものもあった。  元々肌が白いから余計に目立っていた。  首筋がヒリヒリとして、俺はクリス様の剛直が挿ってきた瞬間の衝撃を思い出して赤面した。 「駄目だ……。早く起きて、リリアナ様のところにいかないと……」  そう思うのに、遅々として俺の体は動いてくれなかった。よくリリアナ様が倒れてきた瞬間、起き上がれたものだと自分でも褒めてやりたいくらいだ。 大人は……、普通の顔をしてこんなことをやっているのか……。  学院への入学を取り消してもらって本当に良かった。こんなことをされていたら勉強どころじゃない……。  ノロノロと立ち上がり、出来るだけ肌をみせないドレスを選んだ。リリアナ様の部屋に戻るのに男の格好では問題があるからだ。 「髪はどうしよう……」    ロッティの髪を編んであげた事はあったけど、自分ではやったことがなかったからできるか心配だったが、時間をかければそれほど見苦しくない程度に編み上げる事ができた。いつもは人にやってもらっていたから、令嬢は大変だなと思う。服だって、俺は流石にコルセットをはめたのは舞踏会だけだけど、あれは拷問だった……。  冬で良かったと思う。なんとか首の上の方まであるドレスを着て、髪を結い上げ、そこにあった食事を手に取った。 「食べるのが辛いって……」  かなり高熱にならないと俺は食欲がなくなったりしないのに、ゼリーとミルクでお腹一杯になってしまった。食べるとまた少しだけ眠くなってくる。  立ち上がって何とか部屋を出ると、そこにはエルフラン様が待っていてくれた。気遣わしげな表情で「王妃様の部屋にいきますか?」と訊ねてくれた。 「お願いします」  クリス様に頼まれていたのだろうエルフラン様は、頷くと俺に手を差し出した。迷いながらも俺はエルフラン様の腕に自分の手をのせて、エスコートされる風を装い ながら介護されつつ歩いた。
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