出会い

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出会い

 俺は、ルーファス・レイモンド・オルコットという十五歳の男子。ただし、ドレス着てるけど――。ロッティというのは、俺の双子の妹でローレッタの愛称だ。  カザス王国の国王陛下に嫁いだのは俺の叔母で、リリアナ様っていうとても可憐な女性だ。長い間子供が出来なくて、心配していたのだけれど、この度ご懐妊されて、晴れ晴れとした祝福に国中が沸いている。  ただ、初めての出産だし、色々心細いからということで、俺の双子の妹であるローレッタを王宮に呼んだ。  ローレッタは手紙で、来週お伺いしますと書いたくせに、父が誘った温泉旅行に母に内緒でついて行ってしまったのだ。よくあることだが、父にも妹にも悪気はない。ただ、常識がないだけだ。 「来週には帰ってくるといっているのだから放っておいたらいいわ」  母は、父のすることに文句を言わない。気楽に構えていたが、父と妹は帰ってこず、知らせだけが届いた。 『雪が凄くて峠が越せない。雪が溶けたら帰る』  二人のフットワークは超軽い。その二人が帰って来れないということは、大変な事なんだと思う。が、どこの温泉に行ってるんだろう。 「仕方ないわ。リリアナ様ならあなたでも文句をいったりしないでしょう。ルーファスいってらっしゃい」  俺は久しぶりに会う叔母に、女装姿で会う事になった。呼ばれているのがローレッタので、母はドレスを俺に着せたのだ。  カザス王国は、去年国王の死去によりリリアナ様の夫であるリチャード様が国を継いだ。新たな国王は三十四歳の若さながら、長い間前国王の側で勉強してきただけあって、継ぐ際にも問題はなかったようだ。リリアナ様とは十年来の付き合いで、五年前に結婚してやっと待望の懐妊、そして来年の春に出産の予定だ。 「あら、あなたルーファじゃない」  流石、小さい時からみてるだけあって、そっくりに女装した俺をみてもリリアナ様は動じなかった。「どっちでしょ~」と、二卵性の割りにそっくりだったからローレッタはよく俺と同じ格好をして周りを混乱させたものだった。黒い髪と宝石のようだといわれる緑色(エメラルド)の瞳は、女装してもルーファスを小柄に見せた。実際、歳の割りに小さいことがくやしくて、毎日ヤギの乳を飲んでいるのだけれど……。
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