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斎藤と俺は急ぎ服の中にカードの袋を詰めていくと、不意に声がかかる。
「兄ちゃん。万引きして楽しい?」
その言葉は俺に心に剣を貫くかの如く衝撃的なインパクトを与えた。
恐る恐る俺は声を掛けられた方へ視線を向けると、なんとその発言をしたのはまだ小学生にも上がっていない年長さんぐらいの男の子だった。
俺は動きを止めたが斎藤は「うるさい!あっちいっとけ」と追い払い「行くぞ」と俺に呼びかけた。
俺はその呼びかけで慌ててコンビニを出た。
急いで走ったが直ぐに店員が駆けつけ、俺達は案の定捕まった。
親の呼び出しをくらい、斎藤と俺はコンビニの店員の前で両親にこっぴどく叱られた。
家に帰るとオカンは泣きながら俺を叩きまくった。親父が帰ってくると本気ケツ叩き10発。
その日は叩かれまくりで泣きまくったが、親を悲しませた事や殴られ怒られた事よりも、自分より幼い子供に言われた一言が一番辛かった。
それ以来、懲りずに斎藤は万引きを誘ってきたが俺は一切それに参加せず、乗り気は怒らなかった。
あの言葉は一生忘れない。
「兄ちゃん。万引きして楽しい?」
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