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日付が変わる深夜0時。
「時間です。」
軍服に身を包んだ三人の男がそこにはいた。
「こちらの制服に着替えたらエントランスに来てください」
有無を言わさぬという圧、僕にはもう命令に従うほかないのを分からされたような気がした。
制服は簡単な作りで着替えるのに一分もかからなかった。
エントランスに向かう足は軽かった、どうにでもなれというか、もう考え事をしないよう心がけた。
「何も言わずに行くつもりか」
聞きなれた声がする。
なんでこんな時間に、こんなところに、僕が口を開くまえにショウは続けた。
「お前、昔から嘘へたくそなんだよ、気づくにきまってんだろ」
だけど、ここで歩みを止め振り返るわけにはいかない。
「マリーも気づいてたよ、ここには来てないけどな」
進めなくなってしまう。
「マリーも俺もわかってた、永遠にこの生活が続くわけじゃないって。だれかいなくなるって」
もう戻れない。
「だけどな、俺らが過ごしたことが消えるわけじゃねえ、お前がここからいなくなっても、お前と過ごしたことが消えるわけじゃないんだよ」
エントランスのまえにつくと、重厚なシャッターがおりてきた。
「生きろよ。ーーー」
振り返るとそこにはもう無機質なシャッターしかなかった。
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