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『こうして、××に平和が訪れました。でも、』
まるで子どもに読み聞かせするように、本を読む。
『この後、皆死んでしまいました』
『めでたしめでたし』
僕らが言葉を紡ぐとソレが真実になる。
その言葉通り、僕らの周りには沢山の人々が倒れて、血だまりを作っていた。
『呆気ないね』
『だって、この物語が愚直だからね。そうだよね?』
本を腰が抜けて怯えきっている男に投げつける。
「お前ら一体何をしたんだ」
『その質問は愚問だよ』
『僕らは嘘を真実に塗り替えただけさ』
『そして、ソレによってお前の物語は死んだ』
『皆平等にね』
僕らは鼻先でそう笑った。
「そんな……」
男はうな垂れた様子で倒れた人々を見ていた。
そして、次々と登場人物の名前を呟きだした。
まるで愛着も持って育てた親のように。
その様子を冷ややかな目で僕らは見つめていた。
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