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点滅するカーソルがここ一時間ずっと黒く染まった目で私はずっと眺めていた。
下手の横好きで小説などを書いているか、最近になってはソレすらも苦痛になってきている。
周りは才能に溢れている、賞を受賞する者、小説で仕事を貰う者、はたまた人気が出て書籍化する者。
私にはそんな奇跡は全く起こらない。
奇跡が起こらない私には何も残ることは無い。
私は才能のカケラもない凡人そのものである。ただ、“物書き”という仮初めを身に纏って、ただただ物語を紡いでいく人生を送っている。
惨めに欲して乞うて、才に秀でた人々の周りをただただウロウロとして生きているだけの人生。
あの才能の塊たちの輝きの中に私は混ざって加わることが一生出来ない。あの光は私には眩しすぎて息をすることも出来ない。
だから私は孤独だ。
誰も私のことなど気にすることも無ければ見向きもしないだろう。
そうやって寂しく死んでいくのだ。
『そうやってまたお前は可哀想な自分を演じるのかい?』
『無様だね』
私を否定する幻聴が聞こえる。
演じているのではないコレは私の……。
『孤独に生きているフリをして、あの場所に憧れを抱いている』
『溶け込めないと言っている癖に、いつかはあの場所へ立ちたいと思っている』
《そうやって、悲劇を演じているのはお前自身じゃないか!》
やめろ!
幻聴を断ち切るように私は咄嗟に耳を塞ぐ。
しかし、幻聴は止まることはない。
『お前は嫉妬をしているんだ』
違う。私に嫉妬なんて感情はもう枯れ果ててしまった。
才能を持たない私なんて“憎い”という感情さえ持ってはいけないだろうから。
『嘘だね』
『お前は自分より秀でた人間が憎くて憎くてたまらない』
『どうして周りは認めてもらえているのに、自分は認めてもらえないのかと恨んでいる』
『どうして自分にはスポットライトが当たらないのかと嘆いている』
《それは嫉妬だ》
耳を塞いだままブンブンと首を振る。
断じて違う、それは断じて。
『いい加減目を背けないで見なよ』
『現実ってもんをさ』
その声にハッとすると、其処には白髪と黒髪の青年が私の前に立っていた。
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