響都イメジェン

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「お前たちは……」 『お前のココロそのものさ』  白髪で褐色の肌の青年が嗤う。 『お前のココロの幻想さ』  黒髪で白肌の青年も嗤う。 《そして、それを生み出したのはおまえ自身さ》  二人は私を指差す。 『お前の人生って面白みのカケラもないよネ。まるでお前が作り出した世界のように』  白髪の青年の手には何時の間にか山ほどの紙の束が現れていた。 『愚鈍で』 『無知で』 『自分よがりで』 『でも自分には自信が無くて』  違う。 『醜行で』 『妄挙で』 『誰も自分なんて認めてもらえないなんて分かりきっているのに』 『それでも認めて欲しくて今日も救いを乞いて』  ヤメロ。 『中途半端に諦めきれずにこうして今も書いている』 『駄作ばかりを量産している』 『アイツのより優れているハズなのにどうして認められないのか』 『彼女より書いている期間は長いハズなのにどうして売れないのか』 『どうして』 『ドウシテ』 『そうして永久に抜け出せない沼に嵌る』 『劣等感に苛まれ続ける』  五月蝿い五月蝿い五月蝿い五月蝿い五月蝿い五月蝿い五月蝿い五月蝿い五月蝿い五月蝿い!  脳に響き渡るそんな言葉に私はただただ遮ろうとすることしか出来ない。 『認めて欲しい』 『自分の存在を証明して欲しい』 『あの輪の中に入りたい』 『周囲から称えられたい』 『楽をしたい』 『苦しいのは嫌だ』 『尊敬されたい』 『馬鹿にされたくない』 《しかし、お前はそれすら変える事が出来ないクズだと自分で思っている》  もうヤメロ! 《自分がクズだと思うのならクズはクズなりに惨めに死になよ》 《それが自分のココロなんだろ?》  やめてくれ……。  私の机の上で打ちひしがれる。  すると、ビリビリと何かが破かれる音が聞こえる。  顔を上げると、白髪の青年が紙の束を破き始める。  よく見ると、ソレは……、  私が書き上げた作品達だった。
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