響都イメジェン

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『こんな人生』  ビリビリと白髪の少年は原稿を破るのをやめない。 『終わらせたほうがいい』  黒髪の青年も同様に破り始めた。 《この紙吹雪のように儚く惨めに終わればいい》  二人の青年が破いた紙を天井に向かって放り投げる。  すると、破られた紙はまるで雪のように部屋中を舞い始めた。  私は、  私の人生は、本当に非生産性のないものなのだろう。  だから、彼らの言うとおりに……。 『お前には最後の役割をあげよう』 『お前にしか出来ないことさ』  青年達は真っ白な原稿用紙と赤黒い万年筆を私に手渡す。 「これは」 『これでお前の最後の“響き”を紡ごうじゃないか』 『文字通り“集大成”だ』 『これでお前の“理想郷”を描け』 『誰にも何も言われず邪魔されることのない“世界”を』 『――さぁ、お前の最後の作品をココに開幕しようじゃないか』  彼らに導かれるままに私は書く。  永久に終わらない物語を。  私の“命”を使った物語を。  ――これは、私の最後の“響き”を騙った都の物語。  響都イメジェン。
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