魔法使いになった僕

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 僕は最近、自分が恋愛ジャンキーだと気づいた。  初恋は17歳と遅い。  それまでにも保育所から何人かの女子を可愛いなぁーと思いつつも、17歳の初恋を意識した時、それまでのは恋愛感情やないと思った。 「恋は下心、愛は真心」という名言がある。  心という文字が何処に入っているのかで一目瞭然。  恋というのは、下心。  片想いだろうが両想いだろうが、見返りを求める。  見返りを求めないのが愛。  だから、恋愛という言葉はおかしな組み合わせだったりする。  恋の魔法というのは、概ね半年前後で解ける。  子孫を残すため、一時的に脳がパニックになっているだけ。  そして、同じ相手には恋の魔法に耐性がついてしまう。  恋から愛へと変われなければ破局。  愛に進化すれば末永く付き合える。  初恋は然りげ無く告白して、やんわり断られた。  でも、今も忘れない自慢の思い出がある。  初恋の相手は、声優養成所でプリントを僕に回すために振り返った彼女に一目惚れ。  女優やアニメを観ていて、眼鏡の似合う女性が好きだという傾向がある事に気づいた。  彼女は、初めて見るフレームレスの眼鏡が、とても似合っていた。  実習で、ラジオ出演4人にグループ4人で立候補。  僕、彼女、恋敵‥‥そしてリーダー格の姉御。  原稿は2種、男女ペア。  グーとパーで決める形式で見事に彼女とペアになれた。  初めてのスキー場、取り残されて困惑する彼女。  そこへ「退けどけー!」と叫びつつ突っ込む初スキーで止まれない僕。  見事に激突。  謝りつつ、紳士な態度で接する僕は「捻挫とかしてない?」と彼女を心配する。  彼女は怒り心頭で「アンタに何が分かるのよ!」と悪態。  一方的に僕が悪いんやから当然の反応やけど‥‥「医大生なんだ」という言葉に彼女は豹変。 「え、お医者さん? あ~ん痛いのぉ~」といったストーリー。  今でもカセットテープがどこかに眠ってるはず。  残念ながら声優としては大成しなかった。  一目惚れで、惚れっぽい。  でも、第一印象って大事やん?  デートまで漕ぎ着けても、恋人未満でフラれ続けた。
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