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830天長7年、慈覚大師創建の天台宗の小刹。江戸城から移築された徳川家光誕生の間と春日野局化粧の間などがある。
50年の歳月を掛けて彫ったとされる538体ある500羅漢などの文化財も多く何時でも参拝客で賑わっている。
本堂脇にある大黒天堂は参詣時間内は開けられている。
二重の塔とでも言うのだろうか?
喜多院横には唯一立派な寺院らしき物がある。
その脇より表に出ると、時の鐘かと思えるほどの建物があった。
「あれが時の鐘?」
早速先輩に訊ねてみた。
「あっ、似てるね。でもこれは違うよ。本物の時の鐘は銀行の近くにあるはずだから」
「銀行?」
「蔵造りの町並みにあって異彩を放つ建物だよ」
「わぁ、見てみたい」
「って……」
「実は、川越には来たことがないの。仕事は東京だからね。だから先輩がロケーションにえらんでくれたからラッキーだと思ったの」
それがこのロケーションに先輩が誘ってくれてから、ウキウキしていた本当の理由だった。
次は成田山川越別院。先に訪れた喜多院とは近い。
通りを隔てた場所。そう表現していいほどだと感じた。
其処は見た目ですぐに判った。川越歴史博物館の横の通りで、大きな不動明王像が睨みを効かせていたからだ。
七福神は恵比須天像だった。此処は大本山、成田山新勝寺の別院。
不動明王を本尊とする真言宗の寺。交通安全祈願の参詣客が多いことから駐車場も広い。
山門から本堂へ延びる参道の右手に恵比須天像を祀る小堂がある。開山堂が立ち並び、参詣時間内は開扉しているそうだ。
別院を出て、通りを左へ行く。幾つかの辻を過ぎると、本川越駅前の通りへと繋がる連雀町の信号機がある。其処を右に曲がって真っ直ぐ行くと、蔵造りの通りだ。でも次なる目的地に入るには、一つ先の交差点を曲がらなければならないのだ。
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