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中院の大きな山門を出て次に向かったのは仙波東照宮だった。
今日は三葉葵の門が開いていた。私達は階段を登ってから合掌した。
脇道を進んで行くと、向こう側に赤い橋が見えた。
「あれは泥棒橋だよ」
先輩が教えてくれた。
「由来は橋の脇に書いてあった、行ってみるか?」
私が頷いたのを見て、先輩は喜多院の脇を通り過ぎてその橋へと連れて行ってくれた。
その後喜多院の枝垂れ桜を満喫した私達は中央通りを抜けて蔵造りの町並み方面に足を運んだ。
「喜多院の枝垂れ桜は凄かったけど、ソメイヨシノがまだだったわね」
「まだ殆ど咲いていなかっな」
「この辺りで有名な桜はあるのかな?」
「川越氷川神社かな? 市役所を下った先の新河岸川の畔にあったな」
「それだったら菓子屋横丁から歩かない? 確かその先の川のが……」
「そうだ、新河岸川だったな」
「じゃ、善は急げ」
「その前に、時の鐘だろう?」
先輩が呆れたように言った。
レトロな銀行の脇にはこれ又今では滅多にお目にかかれないノストラチィックな赤いポスト。その先の辻を曲がるとる時の鐘があった。
下は潜り抜けらるので、川越薬師にお詣りした。横にはめとさ文字のめが2つ書いてある絵馬があった。
「この2つで両目を現しているそうだよ」
「へえー、先輩って博学ですね」
「まあな」
私の褒め言葉に先輩は何故か照れていた。その仕草に……ドキン、とした。
蔵造りの町並みの外れに祭り会館があり、その建物の横を歩く。
其処には災害時に活躍する目的で作れたであろう井戸があった。
「こう言うのがあれば良いんだよ。流石に何度も火災に見舞われきた街だな」
先輩に言われて気が付いた。確か菓子屋横丁も何年か前に、火災に見舞われたことを……
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