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菓子屋横丁を出て、高沢橋を渡る。右に曲がって4つの橋を越えてかなり行った場所に北公民館があった。
「此処の桜もまだまだね。満開になったらきっと物凄くなるんじゃない。きっと大勢押し掛けるわね」
「そうだな。これからまだ観光客を呼べるな」
私達が何故川越に観光客を呼ぼうとしているのかは新聞記事にあった。
川越観光客41万人減、とあったからなのだ。
「この地図にも桜の絵が描いてあるくらいだから、きっと後少し」
「来月の頭かな?」
「4月1日。エープリルフールよ」
私は笑っていた。
北公民館にも、日枝神社のインフォメーションボードのような物があった。
何やら同じような物みたいだ。
「もしかしたら日枝神社の祭りの告知かな?」
私は其処へ行こうとしたのだけど、何故か先輩が止めていた。
「ごめん。疲れたから帰ろうか?」
先輩のその一言で私は立ち上がった。
帰りの道は来たときより険しい。道ではない。体力が……なのだ。
川越氷川神社前を右に曲がって暫く行くと、裁判所前の信号機にぶつかる。
「裁判所?」
「さいたま地方検察庁とさいたま地方裁判所があるらしいよ」
先輩は以前私がもらっておいた地図を見ながら言った。どうやら私の地図も役に立ったようだ。
「どうせなら、蔵造りの町並みを歩く?」
「この道を行ったら何かあるのかな?」
「いや、ないと思うよ」
「だったらその道を行きましょう。だって一番解りやすいし、駅にも近いからね」
私の一言で帰りの道が決まった。私達は疲れた体を引きずりながらもその町並みを楽しんでいた。
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