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次に向かったのは、天然寺だった。妙善寺の道を左に曲がる。
暫く行くと丁字路がある。その先を右に折れて歩くと、天然寺の案内板があった。
「どうせなら、妙善寺への道しるべも表示してほしいですね」
「そうだな。一番への道だからな。それも書いてみるかな?」
「先輩、遣る気になりましたか?」
「あぁ、俄然とだがな。お前さんといると、不思議にこうなる」
「さては私に惚れましたか?」
言ってしまってから失言だと気付く。でも後の祭りだった。私は恥ずかしくなって俯いた。
その二つ目の交差点を右に折れて真っ直ぐに行くと、仙波会館脇に出る。
更に下ると国道16号が見えた。その手前を左に折れると寿老人の天然寺があった。
境内に入ってみて驚いた。国道近くだと言うことが感じられないからだ。
1554天文23年創建の天台宗の寺で、本尊は大日如来。
車の往来が激しい国道沿いにあるが、境内に足を踏み入れば静けさが漂っている。本堂に向かって右側に寿老人像を安置した小堂があり、参詣時間内は何時でも拝観出来るように開扉されている。
天然寺へ来た道を逆さに行くと、さっき見た仙波会館脇に出る。
其処を右に曲がって真っ直ぐに進む。大通りを左に行くと、川越駅方面だ。
私達は真っ直ぐ突き進んだ。暫く行くと左側に川越第一小学校。
その先には中院があった。
「此処は次に来た時に寄ろう。桜が綺麗だから」
先輩が言うのだから間違いない。ってことで、仙波東照宮をも通り過ぎ、次の道を左に折れて喜多院へと向かった。
東照宮前には鳥居があり、その先の階段上には三葉葵の門がある。
此処が徳川家所縁の場所だと言うことは一目瞭然だった。
喜多院の相向かいには日枝神社があった。
「此処も日枝神社なのですね」
「あぁ、浅間神社や氷川神社、熊野神社など、同じ名前の神社が多いな。きっと皆、由緒正しい神社なんだと思うよ」
「そう言えば、川越氷川神社って大きいらしいですね」
先輩の真似をして私も知ったかぶりをした。
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