Chapter1 二人の教師

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天職と思える教師生活には何の不満もないが、最近、ちょっと気になることがある 同じ数学担当の矢木先生だ。 最近何かと真似してきて不気味だ。 ネクタイや言葉遣い、話し方まで真似されている気がする。 昨日なんて、職員室の自分の席で座っていると、とうとうそこは自分の席だと言ってきた。 矢木先生は暗くて神経質な性格で、生徒から嫌われている。 先生たちも関わりたくなさそうに遠巻きに見ているだけだ。 あの性格では、さぞかし高校教師としての毎日は辛いだろう。 矢木先生があまりに哀れでかわいそうに思え、職員室で恥をかかせないために、そっと席を譲った。 案の定、他の先生たちは腫れものに触るように、誰も何も言わず、同情とも取れる何とも言えない視線を送ってくるだけだった。
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