春風に願いをのせて

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   ぎくしゃくとロボットのような動きで椅子に戻ると、残っていたカプチーノを一気飲みした。  空になったカップを荒々しくソーサーの上に置き、俺の方に顔を向ける。 「何なの、今日は」 「え?」 「急に……可愛いとか。さっきも……未来の話とか……」 「あ、いや……」 「ずるい。急にそういう感じ、ずるいと思うな」    ぷう、と頬を膨らませ、俺を睨みつける愛奈。  普段であれば怯えているところだが、メガネ越しの目線は俺の胸を高鳴らせたに過ぎなかった。  怒った君も、可愛いよ。  そんな事を言えば、ぶん殴られるだろうから口は閉ざしておく。
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