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巨人の降臨地点から見て半径1000メートルは立入禁止となり、市民には予備的措置として避難勧告が出された。何が起きたのか、これから何が起きるのか、誰にもわからなかった。
科学者たちが派遣され、調査が行われたが、何もわからないまま、そして何も起きなかった。
やがて混乱も収まり、避難勧告が解除され、立入禁止も、降臨から1年後には解除された。
そのあとは、一種のお祭り騒ぎだった。巨人は新しい観光名所になるかもしれないという期待が持たれたのだ。
事実、白羽市の巨人は日本で唯一の巨人であり、日本中から見物人が訪れた。巨人にあやかった変な商品が次々に誕生して街に溢れた。さっきまゆみたちが食べた巨人焼きだってその1つだ。
「あのころは、巨人のすぐそばに近づくだけで2時間待ちとかだったのよね、この街に住んでるのに」
まゆみは巨人広場を見やった。巨人を見物に来た人はどこにもおらず、帰宅途中のサラリーマンや子供連れの主婦がまばらに歩いているだけだ。みんな、巨人を無視している。圭一が話を継いだ。
「そんで、そのとき巨人は見られたのか?」
「もちろん」
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