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好きな、ことは。
「……はい。」
それは、確かに、確かだ。
出来るなら、晴人の言う通り、晴人に閉じ込められたい。身動きすらできないようにがんじがらめにしてなにも考えられないくらい酷くされたい。頭真っ白になるくらい。
あの夜、みたいに。
じゃあ、でも、その後は。
そうして閉じ込められて晴人に依存して固執して、その後は。
いきなり、放されたら。
ぞわと、背中が震えた。がんじがらめにされた分、拘束のなくなった体はどこに行けるのだろう。どこへ、拠り所を求めれば、いいのだろう。セックスへの依存を強めればいい?玩具じゃもう、足りないのに?奥の深い場所を抉られることを知ってしまったのに?
晴人以外の誰かを探せば、いい?
晴人、以外。
そうしたら晴人は、自分以外を選んで、俺以外を抱いて、俺以外に笑って、俺以外を。
好きに、なるのか。
それは、嫌だ。
いつか離れるのも、今、終わってしまうのも。
「好き、です。」
この言葉を聞いてしまったら、言ってしまったから。
「ごめんなさい、好きです。」
ぱたんと、また、うどん汁に水滴が落ちた。肺がくちくなって、もうあと少しの残りが食えなくなる。
認めてしまったら、もう、どこにも行けない自分に気がつかされた。
でかい掌が、箸を持ったままの右手首を掴んだ。手首のぐるりが熱くなる。
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