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でも、もう挿入たい。挿入りたい。
「はっ、ァ」
咥えた乳頭を放し、尖らせた唇で啄むように口付ける。口付けながら左手で一史の下衣をずり下ろし片足だけ抜いた。手首を押さえつけていた手を外し、右手でパンツと下着が絡み付いたままの左足を持ち上げる。
「っ……!」
一史が息を詰める。このまま乱暴に突っ込みたい衝動に駆られる。女性器とは異なった機能の器官は俺を受け入れるようにはできていない。3度目の性交渉で俺の形に馴染んでいるかなんて判らない。
「……いれ、るんですか?」
腕を下ろし、半身捻った一史が不安げに問う。
「ああ、挿入れたい。挿入て中に出したい。」
上擦った声に自分の情けなさを感じる。胸が詰まって息がし辛い。俺のものにしたい。俺のものにさせてほしい。全部欲しい。
「でも、」
「性急ですまないとは思ってるし、準備が足りないのも判ってる。」
欲しい。今すぐに。めちゃくちゃに犯して幾つもの痕を、所有の印を付けたい。絶対に離すことはないと体に刻みたい。衝動は、止まない。
「でも、堪えられない。」
唾液が後から後から溢れてきて喋るのすらままならない。
「めちゃくちゃに、させて」
前にもその希望を伝え気がするが、そのときよりもずっと、感情の後ろ楯がある希求だった。好きだ。だから俺のものにしたい。だからめちゃくちゃにしたい。全部俺を受け入れて欲しい。俺も全部受け入れるから。お前の中に、俺の居場所を作って。じっとその中に住まわせて欲しい。同じように、俺の中にも、お前を住まわせるから。ずっと、離れずにいたい。体すら、繋がるほど、近くにいたい。溶かして、ひとつになることができないならせめて、お前の中に刻ませて欲しい。
ゆっくりと肉輪に自分を押し付けた。押し付けて引き抜いて、押し込む。息を詰めた音がして、ぴんと一史の右足が跳ねる。
「いい、だろ。」
喉になにかが絡んでいた。うまく喋れない。
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