新しい家族

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蓮にとって、一葉の行動は、予想外だった。 まさか、里親になることを頭から否定した一葉が、率先して大河内に話を聞きに行っていたとか、びっくりするしかない。 「…私は、別に反対だなんて言ってないわ。ただ、いきなりな話だったから、驚いたし、どうしていいかわからなかったのよ。 大河内さんに相談して、私の気持ちに整理が着いたの。いけない?」 「…本当に、君は。」 蓮は、苦笑いするしかなかった。 しばらくして、二人は、大河内に色々教えてもらいながら、里親になる準備を始めた。 里親として持ってなければならない知識や心構えなんかを学んで、次のステップへ進む。 その日は、大河内と一緒に、養護施設へ見学に行くことになった。 そこには、小さな子供達が、思い思いに遊んでいた。 「…大きな子達は、今、学校ですね。ここは、今、高校生がいないので、一番年上は、中学生です。」 「そんな大きな子もいるですね。」 「施設の規模や目的によって年齢の規定はありますが、大抵の施設は、18歳までいられますよ。」 「18歳になったら?」 「施設を出て自立します。」 「…働ける年齢だからですか。」 「まあ、それもありますね。」 そんな話を聞いていた時だ…。 「あの子は、学校お休みですか?」 一葉の質問に、施設長が答えた。 「ああ、茉里菜ですか。あの子は不登校なんですよ。」 ひとりの女の子の周りに、小さな子供達が集まって、本を読んでもらっていた。 優しい笑顔のその子の顔に、蓮は、ハッとなった。 「…あの娘。」 「どうしたの、蓮?」 「あの娘、この間話した女の子だよ。」 「この間?…もしかして、あの夜の娘?」 「…間違いないと思うんだけど。」 それは、運命的な出会いとしか言いようがなかった。
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