新しい家族

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「なんで、行かなきゃならないの?」 「いいから、着いて来なさい。」 蓮が、施設を見学に行って何日か経った平日の夕方。施設で茉里菜の担当をしている神林(かんばやし)は、彼女を連れて新宿へ来ていた。 新宿駅から程近い繁華街の外れに近い場所に、その店はあった。 「着いた。ここだよ。」 「ミルキーウェイって何?可愛いお店だけど、何の店なの?」 「入ったらわかるよ。」 チリリン♪ 可愛らしいドアベルが、お店の中に響いていた。 「いらっしゃいませ。」 「すいません。陽だまり園の神林ですが、ご主人いらっしゃいますか。」 「ええ。すぐ呼びますね。こちらに掛けてお待ちくださいね。…茉里菜ちゃん、あなたもね。」 茉里菜は、自分の名前が呼ばれたのが不思議だった。 「先生。どういうこと?」 「いいから、座りなさい。」 茉里菜は、黙って神林の隣に座った。 どうやらここは、アクセサリーショップのようだ。店内は、キラキラしいる。 「お待たせしました、神林先生。」 奥から出てきた蓮は、神林に挨拶をした。 「いえいえ。今日は、茉里菜を連れてきましたよ。顔合わせしておかないと、いけませんからね。」 「先生、顔合わせって何?」 「こちらの神谷さんが、君の里親になりたいって仰っていてね。それで、一度、顔合わせしてから、話を進めようかと思ってね。勝手に進められたら困るだろう、茉里菜。」 「…里親って。」 「こんにちわ。茉里菜ちゃん。2度目だね、会うのは。」 「…??………ええっ?!…いつあなたに会いましたっけ?」 「思い出してくれないのかな?」 「…えっと…その…あなたは…」 「君は、俺と遊ぼうって誘ってくれただろう。だからね、君と遊ぼうかなぁと思ってね、親子としてさ。」 「…親子?!」 「袖擦り合わすも多少の縁だよ。私達、夫婦と親子ごっこしないかい。」 蓮の笑顔に、茉里菜は、なんと答えていいのかわからなかった。
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