100人が本棚に入れています
本棚に追加
「なんで、行かなきゃならないの?」
「いいから、着いて来なさい。」
蓮が、施設を見学に行って何日か経った平日の夕方。施設で茉里菜の担当をしている神林は、彼女を連れて新宿へ来ていた。
新宿駅から程近い繁華街の外れに近い場所に、その店はあった。
「着いた。ここだよ。」
「ミルキーウェイって何?可愛いお店だけど、何の店なの?」
「入ったらわかるよ。」
チリリン♪
可愛らしいドアベルが、お店の中に響いていた。
「いらっしゃいませ。」
「すいません。陽だまり園の神林ですが、ご主人いらっしゃいますか。」
「ええ。すぐ呼びますね。こちらに掛けてお待ちくださいね。…茉里菜ちゃん、あなたもね。」
茉里菜は、自分の名前が呼ばれたのが不思議だった。
「先生。どういうこと?」
「いいから、座りなさい。」
茉里菜は、黙って神林の隣に座った。
どうやらここは、アクセサリーショップのようだ。店内は、キラキラしいる。
「お待たせしました、神林先生。」
奥から出てきた蓮は、神林に挨拶をした。
「いえいえ。今日は、茉里菜を連れてきましたよ。顔合わせしておかないと、いけませんからね。」
「先生、顔合わせって何?」
「こちらの神谷さんが、君の里親になりたいって仰っていてね。それで、一度、顔合わせしてから、話を進めようかと思ってね。勝手に進められたら困るだろう、茉里菜。」
「…里親って。」
「こんにちわ。茉里菜ちゃん。2度目だね、会うのは。」
「…??………ええっ?!…いつあなたに会いましたっけ?」
「思い出してくれないのかな?」
「…えっと…その…あなたは…」
「君は、俺と遊ぼうって誘ってくれただろう。だからね、君と遊ぼうかなぁと思ってね、親子としてさ。」
「…親子?!」
「袖擦り合わすも多少の縁だよ。私達、夫婦と親子ごっこしないかい。」
蓮の笑顔に、茉里菜は、なんと答えていいのかわからなかった。
最初のコメントを投稿しよう!