新しい家族

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「俺達夫婦には、子供がいない。だから、里親をやってみて、続けられそうなら養子としてその子を引き取るつもりで、君の園に見学に行ったんだ。 びっくりしたよ。そこに君がいて。施設長の先生に、君のことをいろいろ聞いてね、どうしても君を里子にしたくなったんだ。 あの夜、偶然出会った女の子に、俺は縁がある。何か見えないもので、繋がっているって思ったんだ。 俺達と、里親と里子って関係で、親子の真似事してみないかい。そうすれば、とりあえず、君は、園から出られるよ。条件付きだけどね。」 「…条件ですか。」 「そんなに難しいものじゃないよ。俺達が、君との生活が無理だと判断したら、園に戻らなきゃならない。それだけだよ。 今日、いきなりな話だから、少し考えてくれるかな。急がなくて良いから、ちゃんと考えて答えをくれればいいよ。」 蓮の提案は、一方的なものではない。茉里菜の気持ちが、大切なんだと言ってくれている。それが、なんとなくだがわかったから、茉里菜は、素直に頷いていた。 その日から、一週間後、陽だまり園の施設長から、正式に、里親の申し出を受けさせてもらいますと返事がきた。 茉里菜が、里子として、ミルキーウェイに来るのは、ゴールデンウィークの後、最初の日曜日と決まった。 神谷家に新しい家族が増える。それは、とても嬉しいことだった。
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