自分だけの部屋

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お店の奥が、住居になっている。 「狭くてびっくりした?」 「いえ、そんなことありません…。」 「クスクス。遠慮しないで、言いたいこと言っていいのよ。今日からは、あなたの家なんだから。」 玄関口に積まれている段ボールを、部屋に二人で運ぶ。 「あなたの部屋は、2階なの。荷物運ぶわね。階段気を付けてね。」 2階へ上がると、廊下を挟んで、右側が自分達の寝室で、左側が茉里菜の部屋だと言って、扉を開けてくれた。 「とりあえず、ここに段ボール積むから、後は使い勝手がいいように自分で、カスタマイズしてね。 ベッドと机、本棚を準備しておいたんだけど、他に足りないもの出てきたら言ってね。洋服は、ここにクローゼットがあるから。」 何往復かして、段ボールを全部運びこんだら、一葉が、お腹空かないかと聞いてきた。 「…ちょっと減ったかも。」 「よし!じゃあ、腕を振るうわね。パスタは好き?」 「…どっちかというと、好きです。」 「じゃあ、決まり。お昼はパスタね♪」 一葉は、とても楽しそうだった。 茉里菜は、母親の笑顔を思い出せない。でも、きっと小さい頃は、こんな笑顔で自分を見ていてくれたのかも…。 …そう思ったら、泣きそうになった。
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